どんな工事をすればいいの?

マンションリニューアル(共用部)は、大きく分けて配管(給水管・排水管)の改修工事と、給水方式の変更があります。
ここでは、これらの工法や工事の進め方等についてご説明します。

工事を計画する上で事前調査から工事実施までの過程は非常に重要となります。特に、現状の建物を把握し、どの時期にどの様な工事を実施すればよいか詳細に修繕計画を立てる必要があります。
現状把握を行う上では配管の劣化調査は不可欠となります。
実施した劣化調査を基に実施計画を行うとそれぞれのマンションの特性に合った改修工事を実施出来ない場合があり、実際には生活している管理組合様の意見を基に計画を行う必要があると考えます。

配管(給水管・排水管)の改修工事

配管の改修工事としては、更生工事と更新工事があります。どちらが適しているかはその建物の状況によるので、ご相談ください。

更新工事

更生工事

どんな工事?

配管を取り替える工事です。

配管を補強する工事です。

どんなことをするの?

  • 老朽化した給水・排水配管等を、耐久性に優れた配管材や給水設備に取替え、長寿命化を図ります。
    また、容易な維持管理を目的として、掃除口や点検口を配置したり、排水枝管が下階天井内に配管されている場合には自階床内(スラブ上)に配管を変更することも検討します。

  • 既設の給水・排水配管内面を樹脂でライニングする工法です。 一般的な手順は、(排水管の場合は管内洗浄の後)圧縮空気で研磨材を管内に送り込んで錆やブリスター(樹脂皮膜のふくれ)を除去し、エポキシ等の特殊塗料で管の内面に塗膜を形成させます。

どんな時に適している?

短工期での工事を希望の方、建築的な工事を最小限に抑えたい場合に適しています。
耐久性の優れた配管を使用し更新を行います。長期に渡り使用可能です。

注意する点は?

耐用年数は15年程度と推測出来ます。
配管取替を行う際、建築的な工事が同時に発生します。

リノライフで
工事を行うメリット

  • 当社独自開発の管更生技術は、建設技術審査証明を得ており、給水管更生技術『NT工法』、排水管更生技術『Re-FLOW工法』を保有しています。

給水管改修工事

給水方式の種類とそれぞれの特徴

①高架水槽方式

地上の受水槽に水を溜め、揚水ポンプにより高架水槽へ給水。その後、重力により給水を行う方法です。各住戸で出る給水圧力は安定します。但し高層のマンションであれば減圧弁の設置を行い圧力の調整を行う必要があります。マンション建設当初から多く採用されている給水方式となります。

高架水槽方式

②加圧給水方式

受水槽に水を溜め、加圧給水ポンプの圧送により各戸へ給水を行う方法です。使用水量によりポンプを制御し供給を行います。ポンプの制御方法については様々な方法があり、過去には圧力タンクを使用し制御を行う方法があったが、現在ではインバーター制御による水量調整が一般的です。
大型のマンション及び団地に多く採用されている給水方式となります。

加圧給水方式

③直結増圧給水方式

受水槽・高架水槽を使用せず、水道本管の給水圧力と増圧給水ポンプによる加圧(増圧)により、各住戸に水を供給する方法です。各水道自治体により規制があり採用には検討が必要となります。
現在ではこの直結増圧給水方式で工事を行う事が非常に多くなっています。

直結増圧給水方式

④直結直圧給水方式

水道本管の給水圧力で、水道本管から各蛇口まで直接給水を行う方式です。戸建て住宅と同様の給水設備となります。3階建てまでの小規模のマンションで採用されている方法です。

直結直圧給水方式

給水管改修工事について

マンションの現状を踏まえ、お住まいのマンションにとって最適な方法は何か検討を行い、良い工事につなげていく為にどの様にすればよいか工事のポイントについて下記の通りまとめてみました。

給水方式選定について

給水方式についてはそれぞれメリット・デメリット(表2参照)があります。お住まいのマンションの規模、生活状況によっても最適な方法が異なります。下記表にメリット・デメリットをまとめました。マンションの立地・特性により給水方式の選定を行う事が必要となります。

給水管更新工事について

①配管口径について

給水方式の変更に伴い給水配管口径の再検討を行う事をお勧めします。集合住宅の計画において過去の給水配管の計画方法と現在の計画方法には違いがあり、再度計画を行う事により配管口径を小さくする事ができます。
その事により工事費の低減を行う事、さらに各床スラブを貫通する配管の斫り工事を行わなくてよい箇所が発生し音低減につながり非常にメリットが多くなります。

②共用部給水管更新ルートについて

給水管の更新ルートについては出来る限り壁、床に穴あけを行わない事、外観を考慮すると出来る限り既存の給水管と同じルートで更新する事をお勧めします。また、一部のマンションにおいては共用の給水管が専有部分内に設置されている事があります。共用部分での新規更新ルートで配管する事をお勧めします。

③専有部給水管更新工事について

現在では専有部部分の給水管についてはポリエチレン管を使用する事が多くあります。更新を行う為の内装工事を最小限とする様な工事計画をお勧めいたします。

埋設部給水管について

大型の団地等では非常にコストのかかる工事となります。近年では耐震型の給水管を多く使用されています。また、増圧給水方式への変更工事と同

排水管改修工事

排水通気設備の特徴

排水管の性能を保つ為には排水が流れる事により排水管内にある空気を何処に逃がして行くかがポイントとなります。空気を逃がすために様々な方法の排水方式があり、ここに集合住宅における代表的な通気方式について説明致します。

①通気立管方式

排水管と通気管を別々の配管で設置し排水が流れる事による空気の行き先を通気管に空流す方法。この方法は中層階のマンションに用いられる事が多くあります。

②伸長通気方式

通気立管を使用せずに排水を行う方法。通気立管方式より排水管のサイズが大きくなります。主に団地タイプの集合住宅に良く用いられる方式となります。

③特殊排水継手方式

排水管と排水通気管を同一配管とする方法。特殊排水継手は排水が流れる際、管壁面に排水を流す為に整流板がついています。その事によ管中央に空気を流す事が出来、排水性能を満たす事が出来る方式です。排水管と通気管2本を特殊排水継手を使用する事により1本で配管出来ることから、集合継手又は集合管と呼ばれています。

集合住宅特有の排水管設置

集合住宅において専有部排水管の設置位置は工事計画を行う上で重要なポイントとなります。
下図の様に専有部の排水管がスラブの上に設置されているか、スラブ下の下階の天井内に設置されているかで大きく計画が異なります。スラブ下配管の場合においては専有部の配管が下階の住戸の天井内に設置されている事となり共用部、専有部の区分けが非常に難しい問題となります。また、専有部の配管であっても排水管のリニューアルを行う事は非常に難しい問題となります。

排水管改修工事について

改修工事における計画のポイント

工事を行う上で、排水管が何処に設置されているかを把握することが非常に大切となります。
また、どの様な配管を使用しているかも改修計画を行う上で重要です。

①排水管改修ルートについて

排水管更新は必ず勾配が必要となるため、既存と違うルートでの配管がとても困難となります。基本的には既存の給水管と同じルートで更新する事をお勧めいたします。

②排水音の問題

排水管は住戸内のパイプスペースに共用立管が設置されている事がほとんどであることから上階から流れる排水音については十分な検討を行う事が必要となります。更新を行う配管についてはビニル系配管の管材を選定することが多く、配管自体に遮音性能を有する事ができません。必ず遮音シート等の遮音性能を有する処置と行い、現在使用している配管より良い遮音性能の配管で更新を行う事がポイントとなります。

③排水管材の問題

施工性の良い材料を使用する事は工事計画を行う上で非常に優位になります。現在では更新配管はビニル系配管の材料を使用する事がほとんどです。ビニル系配管は遮音性能を有しておりません。遮音性能を向上させる為に遮音シートを使用し工事を行うことをお勧めします。

④配管口径の問題

排水管の口径について新築時の計画において現在の計画に当てはめると配管口径が小さいマンションが存在します。排水不良の原因となる為、再度計画を行う事をお勧めします。近年、特殊排水継手による方法に計画変更を行うマンションが増えて来ています。

改修工事における計画のポイント

①排水制限の回数

改修工事を行う上で給水管と異なり仮設設備を設け更新を行う事が難しい為、綿密に工事計画を行う必要があります。更新を行う方法としては作業日毎に既存配管と新規配管を仮接続しながら更新を行い最終的に全ての配管を更新する事で工事完成となります。1日に施工できる範囲が決まる事で各部屋毎の排水制限の回数が決まってきます。計画を行う際は排水制限回数も検討の上、工事方法の決定を行う必要があります。1日の作業時間については室内入室作業となる為、午前9時より午後5時までで作業を行う場合が一般的となります。

②入室日数の問題

排水管工事を行う際、ほとんどの場合、入室作業が発生します。排水制限の回数同様、工事計画の方法によって入室日数が異なりますので検討を行う必要があります。

③工事金額の件

排水管更新工事においては本来の配管を取り替える工事費と同等もしくはそれ以上の費用が内装費用として発生します。工事を行う際は内装工事範囲により工事金額が大きく変動します。内装工事範囲についてはあくまで設備の配管工事の付帯である事から最低限の範囲で計画を行う事をお勧めします。
また、住戸の設備配管についても更新を行う際、排水管だけではなく給水給湯管等の設備配管も同時に工事を行う事をお勧めします。古い配管を残してしまうと将来工事を行った場所と同様の内装工事が発生してしまう事があります。
※上記3つのポイントのバランスで工事方法、工事金額が決まってきます。

その他設備の改修工事

給湯設備

従前の給湯配管の材質は発泡ポリエチレン等で被覆された被覆銅管や、昭和50年頃までは亜鉛めっき鋼管も使われていました。
近年では耐熱性のある架橋ポリエチレン管やポリブテン管の採用が多くなっています
給湯方式は、①住棟セントラル給湯方式、②戸別給湯方式に大別されます。

  1. 住棟セントラル給湯方式

    01 住棟セントラル給湯方式

    屋上等に熱源機や貯湯槽を設けて各戸へ配管で給湯する方式や、地域暖房等からの熱源を熱交換して各戸へ給湯する方式です。

  2. 戸別給湯方式

    02 戸別給湯方式

    各戸に電気温水器あるいはガス給湯器を設置し台所、浴室などに給湯する方式。マンションではこの方式が多く採用されています。

給排水管改修工事の際には、既設給湯設備の状況によって現状の給湯方式を継続するか、システム全体を変更するかの検討が望まれます。
その主な検討項目は維持管理(①の設備は共用部、他は専有部)、コスト(改修、ランニング)、機器設置場所、ガス配管(経路、口径)、電気幹線容量等です。

屋内消火栓設備

屋内消火栓設備は、水源、加圧送水装置(消火ポンプ)、起動装置、屋内消火栓、補助水槽、配管等から構成されます。
消火栓の配管自体は、配管内の水の入れ替えがほとんどなく水中の酸素が補給されないため、給水配管と比較して劣化の進行は格段に遅くなります。
ただし、埋設管や外部腐食などがあるので、定期点検などの際に状況把握が必要です。

屋内消火栓設備

連結送水管

消防隊専用の設備で、地上部に設ける送水口と、3階以上の各階に設ける放水口及び配管から構成されます。
設置後10年を経過した設備は3年毎の耐圧性能点検が義務付けられています。

連結送水管